【サッカー日本代表 ニュース】日本代表(SAMURAI BLUE)とU-24日本代表(東京五輪代表)が3月シリーズで得た成果と7月東京五輪本戦へのオーバーエイジ含めた強化策とは。
日本代表は3月25日に国際親善試合で韓国、30日のW杯2次予選でモンゴル、U-24代表は26日と29日に国際親善試合でU-24アルゼンチン代表と戦った。次の代表活動は6月となる。ここでは、この3月シリーズを経て7月の東京五輪本戦へ向けてのオーバーエイジ含めた強化を展望する。(文=川端暁彦)
■Jリーグ組が見せた地力の価値
日本代表の3月シリーズ、「1チーム2カテゴリー」(森保一監督)」を掲げた“日本代表チーム”は、A代表、U-24代表(東京五輪代表)二つのカテゴリーに分かれて戦い、それぞれの成果を持ち帰った。
MF久保建英(ヘタフェ/スペイン)、DF菅原由勢(AZ/オランダ)らA代表クラスの選手たちがU-24日本代表に合流したこと、またコロナ禍の影響で招集できない選手が出たこともあり、A代表には8名の初招集選手を含むフレッシュな顔ぶれとなった。
あくまで7月の東京五輪を見据えた強化を進める中で、「1チーム2カテゴリー」の選手配分でこうなったと見るべきだが、新戦力を発掘して見極める好機になったことも確かだろう。韓国戦で先発に抜擢されたDF山根視来(川崎フロンターレ)を筆頭として、国際舞台での実績に乏しかった選手たちが好プレーを見せ、Jリーグ組の地力を見せてくれた意味は小さくない。
また、普段Jリーグでプレーする選手たちが海外組のトレーニングに対する意識の高さに刺激を受けていたのも印象的で、山根の活躍に他のメンバーが触発されたことにも価値はあった。モンゴル戦は実力差の大きい相手とのゲームながら、最後まで緊張感のある締まった内容となったのは、こうした点が反映された結果だろう。14-0という大差は、最後まで手をゆるめなかったからこその産物である。あらためて「日本代表」という枠組みで選手が集まる意義も感じられる機会となった。
■オーバーエイジはいつ決める?
ここで勝ち点と得失点差を大量に稼いでおいた意味は意外に小さくない。具体的には6月以降のスケジュールにおいて「1チーム2カテゴリー」のバランスを、さらに傾ける選択肢が出てきたことだ。
まずは予定を見ておこう。
[A代表]
6.3 キリンチャレンジカップ vs未定(札幌ドーム)
6.7 W杯2次予選兼アジアカップ予選 vsタジキスタン(パナソニックスタジアム吹田)
6.11 キリンチャレンジカップ vs未定(ノエビアスタジアム神戸)
6.15 W杯2次予選兼アジアカップ予選 vsキルギス(パナソニックスタジアム吹田)
[五輪代表]
6.5 国際親善試合 vs未定(ベスト電器スタジアム)
6.12 国際親善試合 vs未定(豊田スタジアム)
7.12 キリンチャレンジカップ vs未定(長居球技場)
7.17 キリンチャレンジカップ vsスペイン(ノエビアスタジアム神戸)
7.22〜 東京五輪男子サッカー競技
6月に関して、2カテゴリーのスケジュールはバッティングしているわけで、今回同様に分かれての活動となる。そして、大勝によってアジア2次予選の通過がほぼ決定的になったこと、新たに呼んだ国内組の選手たちから十分に戦力として期待できることを確認できたことの2点を合わせて考えると、6月はより多くの選手を“五輪代表”に傾ける選択が有力となるのではないか。
つまり3月はA代表に帯同していたDF冨安健洋(ボローニャ)、そしてオーバーエイジ枠の選手たちを五輪代表チームに加えるという選択が可能となる。そうなると、どうしてもA代表の陣容が手薄になるが、今回の3月シリーズで確認できたように、Jリーグや海外リーグで結果を出している選手にチャンスを与えて底上げを図る機会と捉えれば、長い目で見てマイナスにはならないだろう。
(写真)五輪代表世代の冨安は3月A代表に招集(C)Kenichi Arai
■6月の段階でベストオーダーに
欧州組に短いオフを取らせて再集合となる7月の東京五輪直前合宿は、まずコンディショニングが中心になっていくことが予想されるだけに、ここでいきなりオーバーエイジの選手たちを追加するというのは博打要素が大きすぎる。その点から考えても、6月の段階で“ベストオーダーの東京五輪日本代表”を編成しておくメリットは大きい。
これまで森保監督はA代表側に五輪世代の選手を積極的に加えることで成長を促したほか、コパ・アメリカやE-1選手権では実質「五輪世代+オーバーエイジ」の編成で臨み、世代間の融合とレベルアップを図ってきた。
そうした動きを思い出してみても、強化と選考の最終段階となる6月のシリーズで、東京五輪に向けたベストチームを編成することは自然な流れのように思われる。オーバーエイジを「どのポジション」の「誰」にするのかも含め、「東京五輪の金メダル」という大目標に向けた前準備は、いよいよ最終段階に入りつつある。
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