ライアン・メイソン氏。
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- サッカーのヘディングには危険が多く、10年後には禁止されているかもしれないと、頭蓋骨の深刻な怪我により引退を余儀なくされたイギリスのプレミアリーグの元スター選手ライアン・メイソン氏(29)が述べた。
- メイソン氏は2017年1月、相手チームの選手と空中で衝突して頭蓋骨を骨折し、14枚の金属プレートを頭部に埋め込むことになった。
- 2019年のある研究では、サッカー選手は一般の人よりも神経変性疾患で死亡する可能性が3.5倍高いことが分かった。
- 「10年後、15年後にヘディングが試合で禁止されていても、わたしは驚かないだろう」とメイソン氏はBBCに語った。「サッカー選手がヘディングによるダメージの可能性をきちんと認識しているとは思えない」という。
サッカーのヘディングには危険が多く、10年後には禁止されているかもしれないと、頭蓋骨の深刻な怪我により引退を余儀なくされたプレミアリーグの元スター選手ライアン・メイソン氏(29)が述べた。
元イングランド代表で、ハル・シティに所属していたメイソン氏は2017年1月の試合で、チェルシーのガリー・ケイヒル選手と空中で衝突し、頭蓋骨を骨折した。
メイソン氏の頭部には14枚の金属プレートが埋め込まれ、それらは28本のボルトで固定された。メイソン氏は2020年12月、この事故で命を落とす一歩手前だったと、ポッドキャスト『Between The Lines』で語った。
2019年10月に発表されたグラスゴー大学のある研究では、サッカー選手は一般の人よりも神経変性疾患で死亡する可能性が3.5倍高いことが分かった。
「10年後、15年後にヘディングが試合で禁止されていても、わたしは驚かないだろう」とメイソン氏はBBCに語った。
「ヘディングに関する研究が進み、関心も高まる中、かなり衝撃的なことがいろいろと明らかになっていくと思う」
「サッカー選手がヘディングによるダメージの可能性をきちんと認識しているとは思えない。現役選手が多くの研究、理解、教育を得られるようになれば、状況は改善するだろう」
「(自分はリスクを負ってプレーすることも)厭わないという誓約をしなければならない状況にさえなるかもしれない。非常に懸念される事態だ。わたしたちが抱えている問題は、ずっと後になるまでその影響が分からないということだ」
2019年の研究だけでなく、頭部の怪我が相次いでいることや元選手たちが認知症に苦しんでいると告白していることを受け、プレミアリーグでは2021年1月から「脳震盪による交代」を試験導入することで合意した。これにより、チームは全ての交代枠を使い切った後でも、頭を怪我した選手を交代できる。
頭を怪我した選手はピッチ上でチームドクターの診断を受け、チームはそのままプレーを続けさせるのか、交代させるのか、決定を下すことになる。
この新たなルールは、現在ラグビー界で導入されているルールとは少し異なる。ラグビー界では頭を怪我した選手はすぐにフィールドから運び出され、チームに属さない医師によって診断される。最終的な決定が下されるまでは一時的な交代が認められる。
メイソン氏はラグビー界のルールが正しいと考えており、サッカー界もそれに倣うよう訴えている。
「なぜサッカーは、すでに実施されていて、機能しているものに倣おうとしないのだろう?」とメイソン氏は語った。
「ラグビーのプロトコルでは、選手やチームに対し、フィールドから離れた場所でチームから独立した医師に検査してもらえる機会が与えられている。そこでは監督や(スタンドにいる)ファンから、選手を試合に戻すようプレッシャーをかけられることもない」
(翻訳:仲田文子、編集:山口佳美)
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